タレントマネジメント導入のポイント

「タレントマネジメントは必要だと感じているけれど、従来の人事管理との違いがよくわからないため、導入に至らない」という人事担当者の声を聞くことがあります。

タレントマネジメントは、組織全体で取組んでいかないと成果がでない性質のものです。しかし、タレントマネジメントの目的やこれまでの人事管理との住み分けが曖昧なままでは、取り組み自体が中途半端になってしまうため、コストや労力の割には効果が見えず、いつのまにか立ち消えてしまうという悪循環に陥りがちです。

ここではタレントマネジメントの成否を左右する3つのポイントを解説します。

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  • タレントマネジメントと人材育成の違いを理解する

タレントマネジメントと人材育成は、ほぼ同義のことであると捉えられていることが時々ありますが、これらは全く違うものです。

人材育成は、「社員全員」を対象としています。会社の役割は、社員が仕事上必要な知識やスキルを学ぶお膳立てを行い、社員の成長をモニターしながら、さらに必要な教育・研修を企画・実施していくものです。

それに対して、タレントマネジメントが対象にするのは、将来にわたって会社の牽引役となる「ポテンシャルを持った人材=タレント」です。タレントマネジメントにおける会社の役割は、タレントのリーダーシップと能力を開花させる場を提供することです。

タレントマネジメントは、隅々まで薄く公平かつ均一的に行き渡らせる性質のものではなく、タレントに対して戦略的に経営資源を投下し、本人がそれを活かすためのサポートを行うものです。従って、タレントマネジメントにおける最重要テーマは、「タレントの探索、選定、一皮向けて活躍するためのアサインメント」になります。これが「社員全体の育成」が重要テーマとなる人材育成との大きな違いです。

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  • タレントを惹き付け定着させる要素を提供する

タレントがその会社に留まり、能力やスキルを遺憾なく発揮し、会社に貢献するモチベーションは、報酬のみではありません。

「重要な意思決定を下せる裁量権」、「自分のキャリア志向・目的に向って進んでいることの実感」、「チャレンジを通して自分の価値が高まっていくことへの期待」がタレントにとってのモチベーションとなります。長期雇用と年功的な昇進・昇給を前提とした日本の人事システムの中では、従業員を惹き付け、定着させるための努力については、これまであまり着目されてきませんでした。しかし、日本型雇用システムの変化や就労観の多様化によって、タレントがよりモチベーションを持てる環境を求めて、流出するリスクというのは高まってきています。

こういったリスクに対して、将来のリーダー候補を早期選抜して特別な研修を受講させたり、子会社のマネジメントを経験させたりといった施策を行っている企業があります。しかし、研修やアサインメントの後、その経験を開花させられる環境を継続的に提供できなければ、タレントの成長やモチベーションには繋がりません。

従って、会社をマネジメントする立場のみではなく、タレント自身の視点にも立って、タレントマネジメントを考えることが重要になります。

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  • タレントを生み出す企業文化つくる

タレントを大切にする土壌がなければ、タレントは生まれません。タレントマネジメントは人事の一担当者が行うものではなく、企業のマネジメント全員で行うものです。

マネジメント全員がタレントマネジメントを自分の仕事の重要な部分と位置づけて、タレントの発掘、キャリアパスの提供、モチベーションの維持に日々取組まなければなりません。

実際に、タレントマネジメントがうまく機能し、たくさんのタレントを擁し、維持している会社は、上司は部下へのコーチングに時間を割くことはもちろん、シニアマネジメントがタレントについて真剣に議論することに相当の時間を費やしています。

タレントマネジメントを実践しようとした場合に、タレントとみなされた一部の社員以外のモチベーションの維持と社内のモラール低下をどうするのかという課題がでてきます。こちらへの対応については、ケーススタディをご参照ください。(ケーススタディ:日本型雇用におけるタレントマネジメント)

企業文化を創造するのは人です。マネジメント全員で、長期にわたって自社を支えるタレントを輩出する環境づくりに取組んでください。

「タレントマネジメント」の実施にあたっては、「導入編」を参考にしてください。

  • 「導入編」STEP1 目標の設定へ>