組織開発とは?

複数名の人が集れば自然に組織が形成されるわけではありません。集団を組織に発展させるためには、理念や目的を共有し、働き甲斐のある場をつくることで、見えざる資産である組織能力を獲得、維持、向上させることに意図的に取り組んでいくことが必要です。組織開発とは、人の集まりを組織として機能するように作りこんでいくための働きかけのことです。

組織開発が注目される理由

従来の日本企業は、バックグラウンドが同じ人ばかりで仕事をしているので「あうん」の呼吸で仕事ができる、年功序列のしくみの中で人材が育っていく土壌ができあがっている、既存事業を維持することで企業業績を確保できる、といった環境で、ビジネスを拡大してきました。日本企業の強さは同質性にあったのです。この背景から、多くの日本企業は、特に意図的な働きかけを行わなくても、人の集まりは自然に組織になっていくと考えていたようです。

しかし、ビジネスや顧客、社員のグローバル化、経営環境の変化の速さ、人の価値観やライフスタイルの多様化に伴って、これまでのやり方ではうまくいかないようになってきました。
そこで注目されはじめたのが、「組織開発」です。組織開発は、1950年代から米国で発展したマネジメント手法です。米国は多様なバックグラウンドの人から成り立っている社会であることと、個人主義的な国民性から、企業はばらばらの個人を組織として機能させることに腐心してきました。その結果、組織開発の概念や技法が発達しました。

そして多様性のマネジメントを求められるようになった日本企業でも、米国での成功例に習って組織開発の考え方を取り入れることで企業競争力を維持できるのではないかと考え始めました。

このようにして、組織開発は脚光を浴びることとなったのです。

組織開発が注目される理由

組織開発のアプローチ

企業として大切にしたい価値観と、企業活動を通じて何を実現したいのかを熟考し、そのためにどのような組織を作るのか、どのような人材に、どのような働き方をしてもらいたいのかを明確にすることが、組織開発の取り組みの第一歩です。

組織開発は、企業戦略と密接に関係しています。ほとんどの欧米企業には組織開発部門が存在し、戦略スタッフとして位置づけられているのは、この理由からです。組織開発の対象となるのは、企業全体、部門、ワークグループなどの様々な規模の集団とそれらに属する個人です。組織開発のアプローチや手法のベースとなっている概念は、組織行動学、経営学、心理学、社会学、人類学、経済学、教育学等の様々な分野にわたります。人事制度や研修、日本でも近年浸透してきたコーチングやファシリテーションも、組織開発ツールのひとつなのです。

現状の組織とビジネス環境や企業戦略との合致度合いをモニターしながら、その時々の状況に応じたツールを用いて、長期的かつ継続的に根気強く「人」に焦点をあてた働きかけをおこなっていくこと、これが組織開発のアプローチです。

状況に応じた根気強い取り組み

企業競争力を引き出す組織開発

組織開発の出発点は、人の集まりに一体感をもたせたり、コミュニケーションを活発したり、一緒に働く人の相互理解を深めて良好な人間関係を築く、という取り組みでしたが、徐々に組織の競争力を高めるための経営活動へと進化してきています。

まとまりがあり、風通しがよく、組織に属する人々の間に信頼関係があるということは、組織にとっての最低条件です。しかし、これらが整っただけで企業業績の向上や戦略目標の達成が実現できるわけではありません。組織の基盤が整ったところで、もう一段目線をあげて、「強い組織」をつくるために組織の能力を向上させる必要があります。

強い組織は、次の五つを備えています。
1.経営に対する信頼に基づく組織へのコミットメントがあること。
2.組織を牽引するリーダーが多数存在し、その人々がずっとこの組織で働き続けたいと強く思っていること。
3.組織に属する人々が仕事を通じての成長とやりがいを常に感じていること。
4.現場まで理念が浸透していて、最低限でルールのみでオペレーションが完遂すること。
5.変化への適応力があり、リスクをとれること。

組織開発は、企業の優位性と差別化をもたらします。

企業競争力を引き出す組織開発

組織開発で重要なこと

組織開発を行う上で、重要なポイントは三つあります。

第一点目は、社長をはじめとするマネジメントが組織開発にコミットし、積極的な支援と関与を惜しまないことです。マネジメントが組織開発を行う理由と目標とする未来図を示すことができなければ、社員は忙しいのに、何やら余計なことをさせられていると感じ、疲弊感がつのるだけで、かえって逆効果です。企業ぐるみで一丸となって本気で取り組む土壌づくりが重要です。

第二点目は、組織の状況やメンバーに応じた適切なツールを選択することです。価値観や目標は各社各様ですから、他社の成功事例をそのまま真似ても効果は期待できません。また、これさえ実施すれば、どんな組織においても、どのような問題も、即時に解決できる魔法のツールは存在しません。自社にとっての成功要因を見極め、自社に適した組織開発のやり方を作り上げる必要があります。また、ビジネス環境、組織の状況、社員の気持ちやモチベーションを常にモニタリングしながら、ツールやタイミングを柔軟に選択していくことも重要です。

第三点目は、腰をすえて取り組むことです。人は未知なものや変化に遭遇したときには、必ず抵抗や拒否を示します。様々な過程と時間を経て、受容する人もいますが、どうしても受容できない人がいて、さらなる働きかけが必要となります。挫けずに時間をかけて、人の集団を組織にする働きかけを続けていく覚悟が重要です。

組織開発で重要なこと
・マネジメントのコメットメント
・適切なツールの選択
・腰をすえた取り組み

組織開発に取り組む上でのポイントは、「組織開発導入のポイント」で詳しく解説しています。導入を検討される方はこちらも是非読んでみてください。

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